Movie Journal

映画と国内外ドラマの鑑賞録です。基本的にネタバレ。

ギヴァー 記憶を注ぐ者 (92pt)

2014年 アメリカ ドラマ/SF

人々は、すべてが管理された理想郷「コミュニティー」で暮らしていた。そこで他の人たちが持っていない、世界のすべての記憶を継ぐレシーバーに任命された主人公のお話。

 

原作

この映画の原作となっているのはアメリカの児童文学、ロイス・ローリーの「ザ・ギヴァー 記憶を伝える者」です。日本では一度絶版になったりしているのでそこまで人気ではなかったかもしれませんが、世界的にはベストセラー作品なのだそうです。原作は読んだことないんですが、面白そうなので機会があれば読んでみたいです。

それにしてもなんで邦題は原作と違う「記憶を注ぐ者」って付けたのでしょうか…注ぐって「そそぐ」よね、「つぐ」ではないよね…まさか継ぐ(つぐ)の誤変換ではないよね…不思議な邦題です。

 

スタッフ

監督を務めたのは「ソルト」のフィリップ・ノイス。あの映画も映像にスタイリッシュな雰囲気がありましたが、今作もなかなかスタイリッシュ。

音楽を担当しているのがマルコ・ベルトラミ。この方、「スクリーム」や「バイオハザード」「ワールド・ウォーZ」など数々の有名作品の音楽を担当されている方なのです。この映画は各シーンに流れる音楽がどれも素敵で印象的、音楽のおかげでこの映画の良さがかなり引き出されてると感じました。
  

劇中印象的だったのが、ローズマリーがピアノで弾いていたこのテーマ。壮大なアレンジもすごく似合う曲なのですが、ピアノの物悲しい音色が良かった。


The Giver - Rosemary's Piano Theme OLD/REPLACED See Description

 

キャスト

記憶を受け継ぐ青年ジョナスを演じたのはブレントン・スウェイツ。すごく若そうに見えたけどこの時20代半ばくらいだったのね… 俳優・女優はすごいです。

記憶を授けるギヴァーはジェフ・ブリッジスが演じました。この方、数々の映画作品に出演されているしアカデミー賞も取られてます。有名な方みたい。

人々を統率する主席長老は、「プラダを着た悪魔」「31年目の夫婦げんか」「8月の家族たち」のメリル・ストリープです。この方は、きれいに年を重ねられていて好き。女優には人間らしくない歳の重ね方をしてる方も多いですからねw
  

一番びっくりしたのが、ローズマリー役のテイラー・スウィフト! 最近映画出演される歌手の方をよく見かけますが、彼女も出てたのか…!これまでも何度か本人役やゲストでの出演はされているようですが。金髪+真っ赤なリップってイメージだったからそれと変わると気づけないんでしょうね、溶け込みすぎてて気づかなかった。

テイラーは、このアルバムが大ヒットしたシンガー・ソングライターです。

 

感想

見せ方

管理型社会からの脱出という、よくあるストーリーのSF映画なのですがこの映画は「見せ方」が良かった。序盤画面は白黒なのですが、主人公が感情を知っていくことで画面に少しずつ色彩がついていくのです。
またギヴァーから受け継がれる「記憶」は普通のカラー映像なのですが、この白黒映像との対比でものすごく鮮やかな映像に見えるんです。そこに素晴らしい音楽が重なって、見てるこっちまで世界の美しさを改めて感じるような体験をします。映像の力、音楽の力、映画の力を感じる作品です。

ストーリー

レビューを読んでみると、ストーリーの部分での酷評が目立ちました。確かに説明不足ですし、ツッコミどころも満載。笑 原作小説を読んでみたら幾分か補完されるのでしょうが、一つの作品として映画を作った以上「小説読んだら分かりますから〜」はダメですよね。深く考えると「あれ?」という部分が多いのですが、もうそういうものと割り切って見てみると簡単でわかり易いストーリーです。

 

まとめ

ストーリーに欠点はあるのですが、私は先に述べた見せ方を評価したいと思いました。実際見ていただくしかないんですが本当にこれはすごい。この世界って美しいんだなって、感動で涙が出ました。ストーリーをきっちり追いたい方には不向き、映像や音楽を重視して映画を楽しむ方には超おすすめ!