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Movie Journal

映画と国内外ドラマの鑑賞録です。基本的にネタバレ。

彼は秘密の女ともだち (80pt)

 2014年 フランス ドラマ

幼い頃からの親友ローラを亡くしたクレールは、彼女の夫ダヴィッドと生まれて間もない娘を気にかけ家を訪れる。そこにはローラのワンピースを着て金髪のウィッグをかぶり娘をあやしているダヴィッドの姿があった。

 

予告編の印象からなのか、女装要素のあるコメディ作品だと思い込んで見たのですが全然コメディではありませんでした。そして普段はフランス映画を敬遠しがちな私ですが今作はとても面白かったです。

 

キャストとスタッフ

キャスト

クレールを演じているのは、「間奏曲はパリで」にも出演しているアナイス・ドゥムースティエというフランスの女優。瘦せ型で、頬にそばかすがあり、フランス女性!感が素敵でした。ファッションもフランスっぽくておしゃれでした。

ダヴィッドを演じているのは「ムード・インディゴ うたかたの日々」「タイピスト!」のロマン・デュリスです。
 

クレールの夫のジル役を演じているのはラファエル・ペルソナという方。出演作「黒いスーツを着た男」が話題になった方のようです。作中、首にストールを巻いてメガネをかけているシーンがあったのですが、極上のイケメンっぷりでした。ブラッドリー・クーパーに似てないですか?

ロマン・デュリスの男らしい顎や、濃いめの髭があまり女装には向かない印象でロマン・デュリスと、ラファエル・ペルソナを逆にキャスティングした方がよかったのでは…? という気持ちもあったのですが、見終わってみるとなんとなくリアルでいい人選だったのか、と納得しました。

スタッフ

監督を務めているのはフランソワ・オゾン。日本では有名なフランス人監督のようです。名前に見覚えがあると思ったら「危険なプロット」の監督でした。「危険なプロット」にも抜群の美少年が出てくるので、この監督と私はイケメンレーダーの照準が似てるかもしれません。前作の「17歳」も見られていないので、見てみたいです。
 

ストーリー

幼い頃からの親友を亡くし、悲嘆にくれていたクレールが親友の夫ダヴィッドを訪ねると彼の女装姿を目撃するというところから始まる、一見コメディになりかねないお話なのですがコメディ作品ではありませんでした。

それぞれの愛の形

以前から女装するのが好きだったダヴィッド(亡くなった妻ローラは彼の女装趣味を理解していました)は、一人で娘を育てるうちにとあるきっかけで再び女装をするようになります。
家の中でだけこっそりと女装していたところにクレールが訪ねてきて、女装趣味を知られてしまうのですがダヴィッドは自分の唯一の理解者になってくれたクレールに惹かれていきます。ダヴィッドは女装好きではありますが、ゲイではなく異性が好き。

クレールはジルという男性と結婚しており、結婚生活も順調そう。クレールも異性愛者のようですが、かつてのローラとの関係は「親友」というよりもっと親密そうでした。異性愛者でありながら、ローラとの間にはレズビアンっぽい精神的な関係を結んでいたようです。

自分らしさ

そんな二人が惹かれあっていくのですが、一筋縄に行くわけもなく。色々なことに葛藤したり、進んだり戻ったりしながら、お互いを受け入れていきます。

ダヴィッドは最初自分の女装趣味を恥じていて、作中女装を完全に止めたりすることもあったのですが、女装している自分を自分として認め、そしてクレールにも認めて欲しいと思うようになります。

またクレールも最初はダヴィッドの女装趣味を変態扱いして、夫に隠れて会ったりしていたのですが最後には夫にもダヴィッドの女装趣味を知っていたことを打ち明け、ダヴィッドの女装姿での存在(ヴィルジニア)を求めるようになります。

 

感想

時代に即した映画

性的マイノリティが昔と比べると広く認識されるようになった昨今、性的マイノリティとして知られる「ゲイ」「レズビアン」「バイセクシャル」以外にも様々な愛の形が認知されるようになりました。(作中、ジルの「俺の職場の男性社員の4分の1はゲイ」というセリフもありましたね。)
この作品で取り上げられている異性装者というのもある意味一種の性的マイノリティだと私は考えています。未だ根強い差別や、婚姻、宗教の問題などは残っていますが数十年前に比べれば、現代は異性愛者以外の性的趣向も広く認知されていると思います。

そんな時代だからこそ作ることができた映画なんだろうな、とこの映画を見て私はしみじみ思いました。(割と最近に「フィラデルフィア」や「パレードへようこそ」を見ているからかもしれませんが。)マイノリティだからといって差別するだけじゃなく、「一人の人間として受け入れる」ということが多くの人の選択肢に上るようになったから今作のような映画が作られたのではないでしょうか。
監督がゲイを公表していることや、同性愛を扱った映画を多く作っているからということにも関連はあると思います。だけどそれだけじゃ映画は作れない、見る人がいるから映画は作られるんです。この映画を見たいと思う人がいる、面白そうだと思う人がいる、受け入れる人がいる、それって大きな変化だと思ったんです。

ラストシーン

この映画は「女装姿のダヴィッドが、妊娠中のクレールと一緒に娘を学校へ迎えに行く」というラストシーンで終わるのですがこの終わり方は様々な解釈ができる作りになっていました。

  • クレールはジルと別れてダヴィッドの再婚、娘を二人で育てながらお腹には二人目の子がいる
  • クレールはジルの子を妊娠中、友人関係にあるダヴィッドと彼の娘を迎えに行った

この二つがよくある解釈だと思います。あれ、どっちなんだろう、と思いながら見ていてわからないまま終わってしまいました。いくつかレビューを読んでみても受け取り方は見た人次第のようで、それでいいみたい。私は結局どっちつかずで、「どっちだったんだろうな」で終わりました。

 

まとめ

クスッと笑えて、じっくり見られて、性の多様性について考えるきっかけになる面白い映画でした。異性装という特殊な趣味を扱い、それが受け入れられていく過程を描きながらもすごく自然なストーリーなのも良かったと思います。

自分らしさを考え直したい方、ちょっと考えさせられる映画を見たい方にオススメ。性の多様性について全く理解のない方は、見てもちんぷんかんぷんだと思いますのでやめといた方がいいです。

 

すごく余談ですが、青ヒゲはファンデーションやコンシーラーを厚塗りしても青みが浮かび上がってしまうので、隠すためにはオレンジ系の下地やチークをファンデーションの下に忍ばせて青みを飛ばすのがいいですよ。

 

好きなセリフ

女は花から生まれ、男はキャベツから生まれると言われてる。アタシはカリフラワー(花キャベツ)から生まれたのよ。 

 

この映画もオススメ

異性装とは関係ないのですが、個人的に「ためになった」と思った映画を二つご紹介。現代との違いがよくわかっていいと思います。

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