セブン・イヤーズ・イン・チベット (80pt)
1997年 アメリカ ドラマ
オーストリアの登山家ハインリヒ・ハラーがヒマラヤ登山中にイギリスの捕虜となり、捕虜収容所から脱走したどり着いたチベットで幼少期のダライ・ラマ14世と出会い交流を深めていくというヒューマンドラマ。舞台は1940年代。
感想
とても良かったです。チベットといえば中国ともめてる印象しかありませんでしたが、それにはこんな背景があったのか!と勉強になりました。それにチベットという国の魅力を存分に感じられる映画だったのではないかと思います。
チベットについて思ったこと
1940年代のチベットの聖地ラサって基本的には外国人が立ち入れない場所だったらしいです。外国人禁制の土地なのにハインリヒ・ハラーは勝手に入ったみたいに描かれてましたが、それでも温かく客人として迎えていたチベットの方々の温かさが素晴らしかったです。
チベット仏教の神秘的な部分がかなり強調して描かれていたような感じがしましたが、西洋人から見てアジア僻地の仏教ってそういうイメージなんだろうな。って納得。最高僧侶であるダライ・ラマを敬い、しきたりを大切にしていたり、僧侶の予言を重視してたり、といったことがチベットに暮らす人々の心の中にしっかり根付いているように感じられて描かれ方も素敵でした。
特にチベット仏教の考え方というのが印象的でした。以下印象的だったセリフ。
西洋ではあらゆる意味で頂点を極める人が英雄とされる。私たちの理想は自我を捨てること。目立つことが重要ではない。
ありとあらゆる生物は前世でのあなたの母親の生まれ変わりかもしれない。だから決して手荒に扱ってはいけない。
そしてチベット侵攻した中国人はかなり極悪非道な完全悪役として描かれていました。こりゃ中国反発するで。でもこういった戦争の歴史があったことは事実なんだろうから、認めるしかないのになあと思いました。
この映画の中で描かれているのはハインリヒ・ハラーがチベットで暮らした7年間のことです。当時、政治的君主に即位したダライ・ラマは「人々をおいて私だけ亡命することは出来ない」と語っていましたが、結局10年後くらいに亡命したんですよね。亡命せざるを得ない状況になったと言った方がいいんでしょうが。その後のことはさらっとエンディング部分で触れられているだけなんですが、実際のところチベットはいまだに中国とモメていて。個人的には今後チベットが独立国として認められればいいなと思います。そして争わないという国民性の本質を取り戻し、スイスのように永世中立国的な立場で存在していてほしい。国際情勢はいろいろと、難しいだろうけどね。ダライ・ラマ14世がもし亡くなられたとしたら、とその後が心配です。