劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス (70pt)
2014年 フィンランド/フランス ファンタジー
ムーミン谷に難破船がやってきたことから、一家はリゾート地リヴィエラへと向かうこととなる。
きっかけ
ムーミンというと、たくさんキャラクターグッズが売られていて一度は目にしたことのあるおなじみのキャラクターというイメージです。そんなムーミンのアニメーション映画作品です。
私はキャラクターやそれぞれの設定については知っているものの、ムーミンのアニメーション作品を一度もきちんと見たことがなかったような気がします。で、ちょっと興味を惹かれたのでWOWOWにて放送されていたこの作品を見てみました。
で、このブログを書くにあたり、ちょっと調べてみました。そんなんとっくに知ってるわって方は高速スクロールしてください。
そもそも、ムーミンとは
もともとムーミンを作ったのは、フィンランドの作家トーベ・ヤンソン。彼は小説と絵本を作り、末弟のラルス・ヤンソンとともに漫画も描いたそう。この映画はトーベ・ヤンソン生誕100周年を記念して、母国フィンランドで製作されたそうです。
「ムーミン」に登場するムーミントロールたちはカバに似ていますが、彼らはカバではなくトーベ・ヤンソンが創作した妖精。今作の中でもムーミンパパが「我々ムーミン族とカバとが何の関係もないということが証明された」という話をしていました。Wikipediaによると、もともとの設定では、人間に比べてはるかに小さい妖精だったそう。ですが、お話がたくさん作られるにあたってその設定は様々に変わっていったみたいです。
彼らの生活の舞台は、フィンランドのどこかにあるとされている妖精たちの住む谷「ムーミン谷」です。
登場人物
ムーミントロール
いわゆる「ムーミン」。広く世間に「ムーミン」として知られているのは彼です。物語の主人公です。
ムーミンパパ
ムーミントロールの父親。シルクハットがトレードマーク。孤児院育ちで、院長とウマが合わず孤児院を飛び出したことがきっかけで冒険家になりました。まじかよ。現在は第一線は退いているとのこと。
ムーミンママ
ムーミントロールの母親。ムーミンパパの妻。赤と白の縦縞の腰巻エプロンと黒いハンドバッグがトレードマーク。趣味は編み物で、ガーデニングが大好き。
フローレン
ムーミン族ではなくスノーク族のお嬢さん。ムーミントロールのガールフレンド。金色の前髪と、金色のアンクレットがトレードマーク。前髪があるところがムーミン族とスノーク族の違いだそうです。
ミィ
ミムラ一族の女の子。赤いワンピースを着て、黒い手袋をしています。34人の兄弟姉妹がいる。「ミィ」というのは名前ではなく「一番小さい」という意味の称号だそう。弟妹がいるが、彼女だけ全然大きくならなかったらしいです。
ミムラ姉さん
ミィの姉。青い瞳をしている。ミィよりだいぶ大きい。
スナフキン
ムーミントロールの親友。人に似た形ですが手が4本指だったり、尻尾があったりと人とは違う生き物だそう。旅人で冬が来る前に南へ旅立って、春の訪れとともにムーミン谷に戻るんだとか。
映画に登場した主要人物はこんな感じでした。私の大好きなニョロニョロは今作には登場しませんでした。
ちなみにニョロニョロとは
白いお化け。原作によると"何かを思うことも感じることもなく、ただひたすら水平線を目指し続ける「永遠の放浪者」"だそうです。体に電気を帯びていて、近づくと感電するそう。
また、ニョロニョロたちはひどい暮らしをしていて、危険だとも言われています。ムーミンたちの間ではニョロニョロの話をすることは上品なことではないとされているそう。そばに近づくことを嫌がる人も多いんだとか。
Wikipediaで調べて書いてみましたが、他にも膨大な情報が掲載されていますので興味のある方は是非一度お読みになってください。意外なことや知らないことがたくさん載ってて面白かったです。
ストーリー
はじまり
そんなムーミンたちの暮らすムーミン谷に、ある日ミィとミムラ姉さんを捕虜にした海賊たちの難破船が漂着します。海賊たちは脱出しており、ミムラ姉さんは泳いで岸までたどり着きました。船にはミィと猫だけが残っていました。
この難破船を物珍しく思ったムーミンファミリーが丸太にのって偵察に行くと、船の中には大量の花火や本、金貨、熱帯植物の種が。ムーミンファミリーは金貨には目もくれず各々欲しいものを持ち帰ります。(泥棒やな)
ムーミンママが持ち帰ったのは大量の本・雑誌。この雑誌を見ていたフローレンが南国の雰囲気漂うリゾート地の写真を見つけここへ行ってみたい!と言い出し一家はそこへ向かうことに。ミィはムーミンファミリーに同行しますが、ミムラ姉さんは捕虜として海賊たちについて行きました。
リヴィエラへ
小舟でリゾート地リヴィエラを目指したは、嵐にのまれたり無人島に漂着しながらもリヴィエラの街へとたどり着きます。そこでムーミンファミリーは貴族の一家と間違えられ高級ホテルに宿泊したり、カクテルパーティーに出席したりすることに。ムーミンパパは公爵と友達になってウィスキーを酌み交わしたり、フローレンはカジノで大フィーバーしてお買い物三昧したり、と楽しんでいたりもしました。ムーミントロールとムーミンママはなかなか街の雰囲気に馴染めないようです。ムーミンたちの行動は、リヴィエラという街中では受け入れてもらえず好奇の目にさらされたり、でも一方では過剰なほどちゃっかり都会に染まっちゃったり、と、まあ、いろいろあるのです。
そんな一家の様々なエピソードが、テンポ良くショートショートの連続のように展開するのが今作の特徴かも。ちなみにリヴィエラとは地名ではなく、もともとはイタリア語で「海岸」「湖岸」「川岸」のことだそう(Wikipediaより)。
感想
「シュール」。この一言に尽きます。
普段ムーミン谷という人里離れた僻地で生活を営んでいるムーミンファミリーは都会であるリヴィエラでは、とんだ変わり者一家。芸術のための貧しさを追求したいという公爵からは「本物のボヘミアン」と言われていましたが、まさにそう。
そんな彼らの馴染めない姿・馴染みすぎた姿が、全編通してとてもシュールに描かれています。しかもストーリーとしては、ツッコミどころは満載なんですが、破綻はしていないのが不思議なところ。そして伝えたいテーマ(帰宅したムーミンパパのセリフがそうだと思う)も、割とはっきりしているため見ていてとてもわかりやすいです。
どんなもんなんかなーと軽い気持ちで見てみましたが、普通に楽しめる長編アニメーション映画でした。このシュールな感じは母国フィンランドでも同じように受け取られるのか、それともこれがフィンランドのコメディなのかが気になるところです。
そういえばムーミンってちゃんと見たことないなという方、シュールな作品で笑いたい方、現実離れしたファンタジーを楽しみたい方にオススメ。もしあなたが関西人なら見ている間中ずっとツッコミたくなることでしょう。