Movie Journal

映画と国内外ドラマの鑑賞録です。基本的にネタバレ。

イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密 (93pt)

2014年 イギリス/アメリカ ドラマ

解読不可能と言われた、ナチス・ドイツの暗号エニグマの解読に挑んだ天才数学者の人生のお話。

原作はアンドリュー・ホッジスの「Alan Turing: The Enigma」です。

 

めっっちゃ面白かった! 久々に鳥肌が立つほど面白い映画に出会ったような感じです。

 

 

キャスト

主人公のアラン・チューリング役を「SHERLOCK」のベネディクト・カンバーバッチが演じています。この方個人的にフォト・ボムの印象しかなかったんですけど個性派で素敵な俳優さんですね。今回の役もすごくハマリ役だったと思います。

アラン・チューリングを支えるジョーン・クラークは「パイレーツ・オブ・カリビアン」のキーラ・ナイトレイジョーンは実際にはこんなに綺麗な方ではなかったらしいですが、キーラ・ナイトレイはものすごく美しかった。イギリスの古い街並みや衣装・ヘアスタイルがとっても似合ってました。
アランの同僚のヒュー・アレグザンダーはマシュー・グッドが演じています。

エニグマ暗号

この映画を見てまず驚くのが、このお話が実話ということでしょう。第二次世界大戦下のイギリスが舞台となっているのですが、途中まではこのお話は史実をベースにした創作物なんだろうと思い込んで見ていました。しかしどうやらこれは実話を基にしたお話だということを知って驚き。こんな偉業を成し遂げた人が、こんな人生を送った人が本当にいるのかということにすごくびっくりしました。

彼らは懸命に国のために人々のために働いて暗号を解読し、その事実を公表することなく戦争にブレーンとして参加し、第二次世界大戦を2年早く終わらせたと言われています。しかし戦後も彼らはその自身の功績を公表することなくしばらくは暮らしておられたんだとか。スゲェよ! かっこよすぎ!

ここでアラン・チューリングが「この暗号を人の頭脳で解読することは不可能だ、人の頭脳を超えられるものはただ一つ、マシンだ」と考案した対エニグマ暗号解読マシンが後のコンピューターの基礎となっているというのだから更に驚き。つくづくすごい人だ。思考するコンピューターを作りたいと言っていた彼ですが、この時点で「人と機械が同じようにものを考えるのは不可能」と気づいていたこともすごいと思いました。人工知能の登場で彼の夢は叶えられたのでしょうか。

 

反同性愛者法

物語のメインテーマはエニグマ暗号の解読に挑む天才数学者アラン・チューリングのお話です。しかしこのお話に付随して、この当時のイギリスの時勢や、彼が同性愛者であり反同性愛者法により裁かれたことも取り上げられています。
彼は反同性愛者法の有罪判決を受けて、2年間の女性ホルモン注射(男性に注射すれば性欲が抑制されると思われてたんだそうです)を受けることになります。しかし彼はその期間が1年ほど過ぎた頃に、自殺して亡くなってしまうのです。

彼の偉業を讃えて、2009年にはイギリス政府が彼を同性愛者として告発したことを正式に謝罪を表明。2012年にはエリザベス女王2世が正式に恩赦を発効しています。
しかしこの反同性愛者法によって49,000人のゲイ男性・女性が告発されているそうで、アラン・チューリング以外の者への正式な謝罪や恩赦を行っていないのは不当ではないかという活動が巻き起こっているようです。偉大な功績を残したから恩赦されているのだけど、偉大な功績を残さずとも人を愛するという権利を侵害したこの法律が間違いだったのではないかという話ですね。この活動の署名サイトをシェアしておきます。

www.change.org

 

まとめ

ちょっと話が逸れてしまいましたが、この映画はこんな風にアラン・チューリングの人生そのものを描写したような映画でした。内容は深く濃いのですが、脚本はわかりやすく見ていて混乱することはありません。またベネディクト・カンバーバッチの演技にはやはり引き込まれ、いかにアラン・チューリングが愛すべき人であったか、が感じ取れる作品になっています。伝記物の映画でも特に出来のいい物だと感じました。

 

エニグマ暗号に興味のある方、アラン・チューリングを知ってみたい方、に特にオススメ。だけどたくさんの方に見て欲しい映画です。

 

名言

時として、誰も想像しないような人物が、誰にも想像できないような偉業を成し遂げることがある