Movie Journal

映画と国内外ドラマの鑑賞録です。基本的にネタバレ。

ジョゼと虎と魚たち (80pt)

2003年 日本 ラブロマンス

足の悪い身体障害者の女性と、いかにも普通の男子大学生との恋愛話。

原作が今から30年くらい前の小説らしく、そのせいか障害者に対する差別みたいなものは現代よりも強烈な気がします。特に福祉を勉強したいと言っていた上野樹里に「障害者のくせに」と言わせているところとか、おばあちゃんの近所の人に見られたら恥や、みたいな考え方とか、池脇千鶴が作中で話した「近所のオッサンと何が違うん」って言葉とか。そして、そういう部分もきちんと描いてるからこそ、いい映画なんだと感じました。

妻夫木聡演じる恒夫の浅はかさがすごく、若さゆえの恋愛感情に思えて、この映画をドラマチックな恋愛物語だとは見られない自分があの頃とは違って歳を重ねたんだなぁという気持ちになった。穏やかな海の底にはもう戻れないというジョゼから逃げて、泣いてしまうようなどうしようもない若さの恋愛物語。
恒夫はきっとジョゼが重たくなったんだろうな。これは砂浜で「車椅子買おうよ」「あんたがおぶってくれたらええやん」てやり取りにまとめられてたけど。

序盤の語りでは、ジョゼは死んでしまうのかなぁという空気が漂ってましたけど、それぞれまだ救いのある終わり方で良かったです。恒夫は身の丈にあった現実に戻り、ジョゼは引きこもってた世界(もしくは閉じこもっていた世界)から出られた。これで良かったんでしょう。
十分に素晴らしい作品だとは思いますが、もっとジョゼの心の内とか、生活のこととか、知ってみたかったような気もします。

なんかまとまらない記事になりました。